
Macの高価格化がすごい。
ハイスペックを望まずに、Mac mini 2018の最下位構成(i3, RAM 8GB, SSD 128GB)で購入したとしても、税込96,984円とほぼ10万円に達する。
値段にひるんで買い替えに踏み出せない中、5年前に買ったMac Book Air (Mid 2013)では、Microsoft Office WordやGoogle Chromeでの文字入力にさえストレスを感じるようになってきた。
一方、WindowsのデスクトップPCに目を向けると、第8世代Core i7を積んだRAM 16GBのマシンを、10万円以下でBTOすることもできる時代だ。
iPadのヘビーユーザーである以上、Macアプリにはお世話になっているものの、ここまで価格差があると、ちょっとWindowsへの移行を考えてしまう。
そこで今回、思い切って、自宅用のメインマシンをWindowsのPCに移行することにした。
外出先ではiPad Pro 2018を、自宅ではハイスペックなWindowsマシンを使いつつ、どうしてもMacアプリが使いたい時に今持っているMac Book Airを使うつもりだ。
Mac miniのスペックを超え、遥かに安いPCを目指す

という訳で移行先のWindowsを選ぶべく、BTOショップのデスクトップモデルを検討したり、WindowsノートPCを検討したりと、自分の条件に合うPCを求める旅が始まった。
長年のApple信者として、やはりベースとして考えたいのは、コンパクトで美しいMac miniだ。
BTO(自分でパーツを選べるオーダーメイド)のデスクトップPCなどは、やはりその巨大で真っ黒なボディに、野暮ったさを感じてしまう。
また、せっかくWindowsに乗り換えるのだから、Apple製品では実現できないことを楽しみたい。
例えば、Appleのカスタムオーダーより圧倒的に安く手に入る16GBや32GBのメモリを贅沢に積んでみたり、自分で調達したSSDを好き放題積んでみたりしたい。
さらに、後から増設が可能なスロットが用意されているといった拡張性も重視したい。スペック不足を感じたら、後からでもメモリを積みませる方が、同じPCを長い期間使い続けられるからだ。
まず、現行のMac mini 2018の最小構成のスペックを確認してみよう。
最近のAppleはユーザーにパーツ交換をさせてくれない方針のようで、後から容量などを変更したくても、基本的に増設は自分ですることができない(メモリは頑張れば出来るらしい)。
- 3.6GHzクアッドコア第8世代Intel Core i3
- 8GB 2,666MHz DDR4
- Intel UHD Graphics 630
- 128GB SSDストレージ
- ギガビットEthernet(10/100/1000BASE-TギガビットEthernet、RJ‑45コネクタ使用)
i3, RAM 8GB, ROM 128GBとなると、結構制約が大きいスペックであるように感じられる。
今使っているMac Book Airが128GBのSSDを積んだものだが、しょっちゅうファイルを削除しなければ、新しいアプリを入れられないストレスがある。
これでも10万円払って買う人がいるのだから、Appleのブランドパワーは凄まじい(僕もその一人だが)。
i3とRAM 8GBの構成では、Webブラウンジングなどは問題ないだろうが、ちょっと凝った画像編集や、複数の動画の再生などには不安がありそうだ。
しかも、今はこの構成で良くても、数年して世の中の様々なアプリが重くなっていくと、耐えきれなくなるかもしれない。
実際、2013年の当時はサクサクだったCore i5, RAM 4GBの僕のMBAでは、Microsoft Office Wordですら厳しくなってきた。
少なくともこれを大きく上回るスペックで、外観が野暮ったくない小型Windows PCを、10万円よりずっと安い価格で実現することを目標にしよう。
簡単に自作を楽しめる超小型PC「Intel NUC」の魅力
リサーチを進める中で、Intel NUCという超小型PCの規格があることを知った。
「ネクスト・ユニット・オブ・コンピューティング・キット」の略だそうで、Intelの最新世代のCPU(モバイル向け)が搭載された手のひらサイズのPC自作キットのようなものだ。
Mac miniばりに小さい本体を開けると、メモリとストレージを挿すためのスロットがあり、RAMとSSDさえ別に購入しておけば、簡単にパソコンが自作できてしまうのだ。
しかも、嬉しいのはその安さ。
第8世代のIntel Coreシリーズを搭載した最新のNUCキット「Bean Canyon」シリーズでは、i3で4万円弱、i5で5万円前後、i7で7万円弱で入手することができる。
INTEL NUC BXNUC10I5FNH 小型PC i5-10210U 2.5対応 要ACコードC5 日本正規流通品
価格¥108,800
順位174,093位
発行インテル(Intel)
発売日05/01/2020
(こちらのリンクは第10世代のIntel Coreを積んだもの。)
i5モデルにのみ、薄さが異なるモデルが存在する。スリムな方は、SSDを一枚だけ挿せるのみで、HDDをもう一枚追加することができないという違いがある。
こうして購入した本体に、ノートパソコン用のDDR4メモリと、NVMeのSSDストレージを買い足せば、立派なデスクトップPCの完成だ。
ポート類も申し分なく、最近のMacにありがちな「ドングル地獄」に陥ることもなく、これだけ小さいボディながら、4kディスプレイにも映像を出すことができる。
- Thunderbolt 3 USB Type-C (背面)
- USB3.1 Gen2 Type-A (背面)
- HDMI 2.0a (背面)
- Ethernet (背面)
- USB3.1 Gen2 Type-A (前面、2つ)
- ステレオイヤホン+マイクジャック (前面)
- Micro SDXC Slot (側面)
- Wi-FiとBluetooth 5.0にも対応
最近はSSDの価格もかなり落ちてきているので、500GBや1TBの大容量も、メーカーのCTOを経由せずにAmazonで買えばかなり安く入手できる。
メモリは16GBで、SSDも500GBと大容量かつ高速な読み書きが特徴の高級気味なものを選んでいるので、これでも結構贅沢をしていると思う。目標スペックを下げれば、もっと安くすることもできるだろう。
というわけで、Intelの第8世代Core i5と、16GBのメモリ、500GBの高速SSDを積んだ手のひらサイズのPCが、税込8万円以下でゲットできる。
さらに、なぜか楽天ブックスでもIntel NUCの本体が売られており、僕の場合は様々なサービスの組み合わせで10%の楽天ポイントがもらえるので、ほぼ7万円ジャストでこのPCが組めることになる。
ベンチマークスコアのMac miniとの比較
「Bean Canyon」シリーズに積まれた第8世代Intel CoreシリーズのCPUのGeekbench 4でのスコアは次の通りだ(それぞれシングルコアスコア/マルチコアスコア)。
- i3-8109U 4393/12596(2コア4スレッド)
- i5-8259U 4474/15823(4コア8スレッド)
- i7-8559U 5238/17747(4コア8スレッド)
ちなみに、Intel NUC上位のi5-8259Uとi7-8559Uは、Mac Book Pro Mid 2018の13インチに使われているCPUと同じだ。
めちゃくちゃ安くMac Book Pro並みのスペックのPCが買えると思うと、かなり嬉しい。
一方、Mac mini 2018の同様のベンチマークスコアを見ると、使用されているCPUの性能は圧倒的にMac miniの方が高いことがわかる。
- i3-8100Hモデル 4684/13969(4コア4スレッド)(最低96,984円)
- i5-8500Bモデル 5155/20295(6コア6スレッド)(最低132,624円)
- i7-8700Bモデル 5654/24252(6コア12スレッド)(i3ベースモデルのCTOで最低132,624円)
マルチコアのスコアが大きく異なるが、これは価格が違う分だけ、そもそもコア数が異なることに起因している。
以上を見ると、あくまで参考値ではあるが、Intel NUCのi5モデルを使うのが個人的には満足度が高そうだ。
Mac miniの上位モデルよりはパフォーマンスが低いが、Mac Book Pro Mid 2018と同じCPUで、Mac miniの最下位モデルのi3よりパフォーマンスが高いということで、お得な買い物をしている感が得られるように思う。
Mac miniより高スペックなPCが、半額以下で完成!

MacとWindowsのスペックを平等に比較するのは難しいので、とりあえずCPUのベンチマークスコアが上回っているモデルを選んだ上で、RAMやROMの容量を揃えて値段を比較してみる。
今回組むことにしたIntel NUCは、「Bean Canyon」シリーズのIntel Core i5-8259Uのモデルで、参考ベンチマークスコアが4474/15823のもの。
これに16GBのメモリと、500GBのSSDを積むことにする。
総額は、楽天で購入した場合のポイント還元10%分も踏まえて、ほぼ7万円ジャストだ。
対するMac miniは、「Bean Canyon」のスコアを下回るベースモデルのi3-8100Hで比較する。
これにAppleのCTOで16GBのメモリと512GBのSSDストレージを追加すると、税込168,264円となる。
Intel NUCもMac miniも、どちらも手のひらサイズのモバイルPCだ。
7万円でNUCが手に入る中、その2倍を大きく超えてくる約17万円のMacを買おうと思うだろうか?
これがMac Book Proなどのノートパソコンになれば、さらに割高になる。
上と同様の計算をMac Book Proについて行うと、全く同じCPUなのに、262,224円と価格差が20万円に達する。
10〜20万円もの価格差を、あなたはどう考える?
もちろん、Macの魅力はスペックだけではなく、素晴らしいアプリたちや、iPhone, iPadとの連携などのエコシステム全体が価格の源泉であって、そう簡単にWindowsに劣るとも思わない。
しかし、少なくとも僕にとっては、そのエコシステム利用代として、わざわざ10万円もの大金を足して、しかもスペックの低い端末を手に入れようとは思えなかった。
Appleのサービスに取り込まれまくっている僕でもこの感覚なのだから、これからパソコンを買おうと思っている人ほど、何も考えずにMacを買うより、Windowsでも考えてみることを強くお勧めしたい。
Windowsのエコシステムで生きていく方法を模索すれば、圧倒的に低価格で、しかも高品質なノートパソコンを手に入れることはいくらでもできるのだ。
本当に自分にとってAppleのサービスが必須なのかをよく考え、自分がどれだけのスペックを必要とするのか、その場合の価格差はどの程度なのかを吟味してみることをオススメする。
今後、Intel NUCのキットが届いて組み立てが完了したら、しばらく使ってみて、長年のAppleフリークの僕が、脱Macに成功するかどうかも引き続き報告していこうと思う。
大げさに「脱Mac」と言いつつ、外出先では今使っているiPadもiPhoneもMac Book Airも、使い続けるんですけどね。
DevonthinkはMac用アプリだと思うのですが、Windows環境とどのように共生されているのでしょうか?私も長年のAppleユーザーですが、最近の高価格路線についていけない気持ちになっており、Intel NUCでパソコンを組んでみました。
色々模索はしましたが、Devonthinkに全ての文書を突っ込んで、全端末で快適に同期&閲覧する、という夢は諦めざるを得ないのが現実ですね・・・。
結局、文書の用途ごとにツールを組み合わせる感じに落ち着いています。
PDFはクラウドストレージに直接保存し全端末で同期、リッチテキストはStandard Noteを使い全端末で同期、引用情報はPaperpile&Google Driveという感じです。
そこまでリアルタイムで同期しなくていいものや、iPadだけで見れれば十分なものは引き続きDevonthinkです。