
世の中には、英文校正サービスの会社が山ほど存在する。
こうした英文校正は、大学の授業や就職時に求められる英文Essayや、学部留学・大学院留学などで求められるPersonal StatementやStatement of Purposeといった志望理由書の執筆などのために、アメリカ人から留学を志す日本人まで、広く使用されている。
しかし、こうした言語に関するサービスは、かなり質を見極めるのが難しい。
同じ会社のサービスであっても、実際に担当してくれる担当者によって、かなり質が左右されてしまうかもしれない。
しかも、大抵の場合、こうしたサービスを紹介するネット上のサイトや記事は、アフィリエイト(書いた人にお金が入るそのサービスの広告)が付いていることが多く、あまりレビューとして信用できない。
そこで今回は、実際に自分で大手英文校正サービスであるEssay Edgeを使ってみて、その使い方や、利用料金、サービスの結果などをレビューしようと思う。
この記事内には、Essay Edgeのアフィリエイトなどは付けていない。Googleの自動配信広告でEssay Edgeなどが表示されてしまう可能性はあるが、私の意思とは関係なく表示されるものなので、ある程度レビューの公平性は担保されるはずだ。
エッセイ校正サービスの有名どころの一つ「Essay Edge」
今回利用したEssay Edgeは、Peterson’s社という1966年に設立された米出版会社が行う英文校正・編集サービスだ。
そのサービス範囲はかなり広く、大学でのエッセイの宿題、学部や大学院への出願書類から、MBAプログラムを目指す人向け、ロースクールを目指す人向け、医学生を目指す人向けの校正サービス、はたまたアカデミックな論文まで、高度な専門性が必要となる分野も対応可能と謳われている。
アメリカでは、必ずしもネイティブじゃない人も英文を書かねばならないシーンが多く、日本人など非英語圏の人々だけではなく、アメリカ本国に住んでいる人にも、こうしたサービスのニーズが高いのであろう。
日本人からすると、恐らく多くの人が論文の翻訳・校正や、大学への入学書類(Essay, Statement of Purpose, Personal Statement, Curriculum Vitaeなど)の作成に、こうした英文校正サービスを利用するケースが多いのではないだろうか。
ちなみに、Essay Edgeは、あくまで英文校正サービスなので、英文の翻訳まではしてくれない。
和文からの英文への翻訳が必要な人は、他の英訳サービスを利用する必要があるので注意されたい。
Essay Edgeの3つのプラン
Essay Edgeには、3つのプランが用意されており、用途によって使い分けることができる。
今回、私は1000ワード程度の長文を用意していたため、最も標準的と思われる真ん中の「STANDARD」を選択した。
最も安いプラン「PROOFREADING(校正)」では69ドルからとなっており、以下のようなサービスが提供される。
基本的には、宿題のエッセイや、Statement of Purposeなどの大学への出願書類を書ききった人が、文法などの最終チェックを行うために使用されるであろうプランだ。
Essay Edge 最安プラン(69ドル〜)の内容
- ほぼ完成したエッセイの最終確認をしたい人向け
- 校正者が誤植や文法の誤りを指摘
- 校正者とのメールでのフォローアップ
- 48時間で返却、24時間の「特急」オプションあり
- 校正者を選べるオプションあり
次に、Essay Edgeのサイト上でも最も推奨されており、おそらく選択する人が一番多いであろうプランが「STANDARD」だ。
かなり手厚い校正とコメントが入るので、とりあえずエッセイやSOPを下書きしてみたものの、まだまだ英語力に自信がない人が頼むと良いだろう。
Essay Edge スタンダードプラン(149ドル〜)の内容
- 校正と専門家による批評
- 文章の構成、内容、文体に関する批評
- 校正者とのメールでのフォローアップ
- 48時間で返却、24時間の「特急」オプションあり
- 校正者を選べるオプションあり
さらに本格的なプランとして、「PREMIER」がある。
379ドルからという高価格になっているが、あたかも書籍の編集者かのように、かなり深いところまで執筆をサポートしてくれるようだ。
英文を超高精度にしなければならないプロフェッショナルなどを除き、大学での宿題を乗り切ったり、大学院出願のためにEssayやStatement of Purposeを書く人にとっては、無縁なプランと言えるかもしれない。
Essay Edge プレミアプラン(379ドル〜)の内容
- ブレインストーミングからエッセイの完成までを包括的にサポート
- 1回のブレンストーミングと、2回の批評セッション
- 校正者との2回の電話会議
- 14日間の校正者によるメールでのフォローアップ
- 2週間で返却
Essay Edgeでの注文はわずか1〜2分で完了
Essay Edgeのサイトは、驚くほどUIが洗練されている。
利用したいサービスを選んで「BUY」をクリックすると、すぐさまWordファイルをアップロードするように求められる。
ここで、あらかじめ用意しておいた英語の原稿を、Wordファイルでアップロードする。
すると、すぐさま単語数が計算され、Words Countが表示される。私が今回発注したのは1055 Wordsの原稿で、Microsoft Word上で表示されていた単語数と、アップロード後に表示された単語数は全く同じだった。
ファイルのアップロードを終えると、今度はプランやエッセイの使途などを選ぶ画面になる。
今回は、スタンダードプランで、日本人の多くが利用するであろう大学院向けを試しに選択してみた。
時間がない場合などは、24時間で帰ってくる特急料金なども用意されている。59ドルで追加できるようなので、そこまで割高というわけでもないように感じられる。
1200Wordsまで199ドルで英文校正を発注可能
それでは、実際に価格をみてみよう。
私の原稿では、1055ワードで199ドルという価格が表示された。
10%オフのクーポンを入手していたため、最終的な支払い金額は179.10ドルとなった。
601 Wordsから1200 Wordsまでが同一料金で199ドルとなる。
量をイメージするために、私の原稿について情報を整理しておくと、Wordで余白を「やや狭い」に設定し、フォントはTimes New Roman、文字サイズは12px、A4で2ページをちょっとはみ出したくらいの1055 Wordsの原稿を発注した。
この量の英文校正を、179ドルで実施してもらえるのであれば、割とリーズナブルなように感じるが、いかがだろうか。
校正者からはどんなフィードバックが帰ってくるのか?
私は特に特急料金は利用しなかったので、48時間待つ必要があることになった。
中身は具体的に見せることはできないが、とても熱意のあるレビュアーに、親身なアドバイスをもらえたという印象を持っている。数多くの英文校正サービスを利用したことがあるが、その中でもTOP3に入る素晴らしいレビュアーだった。
実際にあった修正やコメントの内容は次のようなものだ。
- 文法のミスの修正や自然な言い回しへの修正(これは当然)
- 一段落ごとに、ポイントとなる一文を抜き出し、(1)修正を加えた理由の解説、(2)この点のストーリをもっと強化すべきとの提案、(3)文の推移の違和感の解説と改善策の例示、のいずれかが行われていた
- 本文全体にも、不要な一文の削除や、[この部分に〜を挿入せよ]といった具体的な指示がカッコ付きで散りばめられている
- 質問があればメールをするように、というフォローもあり
といったものだ。
送り返されてきたWordファイルは、コメンタリ部分だけで3ページ分の指示と評価が書かれており、加えて、提出した本文に結構な量の赤ペンが入っている、というものだった。
180ドル程度でここまで細かく指示してもらえるのだから、結構満足度が高かった。
Personal StatementやStatement of Purposeなら、品質はかなり高い
以上のように、今回実際にEssay Edgeを試してみた感想は、非常に満足度の高いものだった。
エディターが、「あなたのバックグラウンドはとても興味深いのでそれを際立たせたい」と言ってくれ、もらったコメント全体にその感情が込められている印象だったのもよかった。大学院の出願準備などで疲弊している時にはありがたい存在かと思う。
この記事で紹介した事例を含めて、Essay Edgeに2回頼んだことがあるが、1回目は親身で感情がこもっている感じがするエディター、2回目は別の人で粛々と仕事をこなす感じのエディターだった。
エディターによる個性によって、受ける印象はある程度変わりそうだ。根幹たる校正の品質そのものに大きな差があるとは感じなかった。
一応指名も可能だが、大学院出願のために何十回も英文校正を頼む・・・という人は少ないだろうから、お気に入りの人を何度も起用する、というのは難しそうだ。
とはいえ、2万円弱で2日間待つだけで、ここまでのフィードバックを受けられるわけで、どの大学の出願にも使える骨子となる文章を、1回だけでもいいから校正にかけておくことは、少なからず合格確率の向上に資するのではないかと考える。
今回依頼したのが研究の内容に深く踏み込むような専門性の高い文章ではなく、一般常識の範囲でモチベーションを述べる文章であったことは留意すべきだが、英語圏への留学志望者で、出願書類の準備をしている人には心強い味方となることだろう。