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シカゴCTAトレインのある美しい光景を写した

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約5分
シカゴCTAトレインのある美しい光景を写した

コロナウイルスが世界的に拡大するほんの少し前、2019年12月に、シカゴの街を訪れることができた。

シカゴの街中には、シカゴ交通局(CTA)が運営する電車網が張り巡らされている。観光名所を巡る際には、CTAの一日乗車券を買えば、簡単にシカゴ散策を楽しむことができる。

CTAの高架

シカゴの街を訪れれば、地上の高架を絶え間なく走る電車の音を必ず耳にするだろう。

CTAは、シカゴを訪れる写真家らに最も人気のある被写体の一つだ。L字カーブや十字カーブが至るところに見られる興味深い建築と、朽ちつつある疲労した金属の質感は、非日常的な光景でありながら、どこか懐かしさを感じさせる。

一般の写真家が、駅構内などでスナップ撮影をすることは可能だが、照明、三脚、ケーブルなどの機材は許可されていない。歩道橋などで三脚を立てていると、すぐに警備員に声をかけられてしまうだろう。

それでも写真家は、創意工夫を凝らし、周辺のビルなどから電車の撮影を狙う。

特に穴場として知られているのが、シカゴのあちこちにある駐車場ビルだ。外壁が景色を反射する素材になっている駐車場のビルなどは特に有名で、愛好家の間で情報が共有されている。本来であれば、車を止めていない写真家は立ち入りできない私有地である。

事前にネットで調べた「200 N Clark Street」の周囲を探し回り、ようやく見つけた撮影スポットだ。

外壁にCTAが反射する駐車場ビル

駅によっては、ホーム間をつなぐ歩道橋があり、CTAの線路を上から撮影することができる。Adams & Wabash駅の歩道橋から、トランプタワーに向かって真っ直ぐな線路と、駅に入ってくる電車を撮影した。

周囲のビルの無骨な非常階段と、線路の披露した金属の色合いが、独特の雰囲気を醸し出している。

トランプタワーに向かう直線の線路

あちこちにある駐車場のビルを散策していれば、思わぬ撮影スポットを発見することもある。広いシカゴのどこだったかもはや思い出せないが、10フロア程度ある駐車場ビルの最上階まで登ると、分岐する線路を真上から俯瞰し、歩道を行く人々も見渡すことのできるアングルを得た。

シカゴの街並みは、近代的な都市の景観でありながら、清潔さや新しさというより、摩耗し使い古されたような、独特の質感を帯びているのが魅力だ。

二度と辿り着くことはなさそうな何処かの駐車場にて

CTAはビルの合間を縫うように曲がりくねった線路が特徴で、L字カーブ周辺の建物を散策していると、電車の撮影を狙う愛好家を見かけることも多い。

頻繁に電車が通る上に、電車が通る際には古びた金属の大きく軋む音が響き渡るため、周辺のオフィスで働く人たちは苦にならないのだろうかと思ってしまう。

L字カーブを真横から見ることのできるスポット

シカゴの街並みの魅力は、もちろん電車だけではない。何気ない道路や信号機、真っ黄色なタクシー、あるいは道ゆく人々でさえも、まるで映画の中のように見える。

Board of Trade Buildingの周囲には、歴史を感じる巨大な建物が多い。道路の両脇の列柱と、工事用の足場が、妙なアンマッチを醸し出していた。

Board of Trade Buildingを臨む道路

僕はアメリカの真っ黄色のタクシーが好きで、見かけるとついシャッターを切ってしまう。

グレーばかりで色彩のない街の中で、黄色がより際立って見えるのだ。

色彩のないビル群とタクシー
年末のシカゴは人通りも少なくどこか閑散としていた

また、シカゴの街中では、運河を走る遊覧船も目にすることができる。

半径2キロ程度の範囲に、複雑に入り組む電車の高架線路から、大きな河を優雅に走る遊覧船までが同居していることも、シカゴの魅力の一つかもしれない。

シカゴを走る遊覧船

今回のシカゴ訪問では、殆ど屋外を歩き回っていたが、James R. Thompson Centerの独特のドームだけは写真に収めようと考えた。

建物自体はショッピングモールのようなっているが、上を見上げれば、不思議な円形のデザインのドームのようになっている。鉄骨とガラスによって作られたビルだが、外からも中からも、その独特な建築を楽しむことができる。

ちなみに、フードコートが充実しており、ここで昼食を済ませた。

James R. Thompson Centerで天井を見上げる

シカゴで最も有名なフォトスポットといえば、ミレニアムパーク内にあるクラウドゲート、いわゆる「ビーン(豆)」だろう。

気合の入った写真家は、人の少ない早朝から出向いて撮影をするようだが、僕はとても起きられないので、混雑した時間帯に撮影に向かった。大変な人出であったが、ただの豆の形のオブジェに何故ここまで皆惹かれているのか不思議な気もしてしまう。

日中の混雑する時間であっても、それなりに満足な風景を収めることはできた。

Cloud Gate / The Bean

慣れないシカゴの街を、重いカメラや三脚を持って丸一日歩き回っていたところ、夜には歩けないほど太腿を痛めてしまった。12月のシカゴはとても寒く、体の感覚が麻痺してしまっていたのか、殆ど自覚症状がないままホテルに辿り着き、部屋でカバンを置いた後に激痛に気づいたのだった。

2泊3日の日程でシカゴを訪れたにも関わらず、初日に痛めた太腿と、追い討ちをかける風邪によって、楽しみにしていた夜景を撮ることが殆どできずにシカゴを撤退することになってしまった。

横断歩道と高架

日中の写真しか撮ることができなかったが、夜景とCTAトレインは、次回シカゴを訪れるときの楽しみとして取っておいたことにする。




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